痴漢電車
第6章 トイレではお静かに
千佳「…」
朝の通勤時間、大勢の人達が行き交う中
千佳は地下鉄に通じる階段前で
立ち止まっていた
千佳「…はぁっ」
電車に乗らないと学校に遅刻してしまう
でも乗ったら亘に会うかもしれない
会いたいけど会いたくない
微妙な気持ちで…
千佳「…もう行かないと…」
どうせ学校で顔を合わせるが出来るなら
その前に亘に会って話したかった
ちゃんと謝りたかった
千佳「…」
亘「おはよう、具合はどう?」
千佳「先生!!」
亘「?」
千佳「先生、私…わた…し…」
亘「寺田?」
千佳「っ…先生…」
朝の通勤時間
大勢の人達が行き交い
誰がどこで見てるかわからない状態
気を抜いたらいけない、わかってるのに
千佳は亘の胸元に顔を埋め
離れなかった
千佳「先生…っ、昨日はごめんなさい…
私…」
亘「気にしてないよ」
千佳「でも…」
亘「昨日は俺も軽率だったから…」
千佳「…」
亘「電車来たから行こう」
千佳「…はいっ」
亘「…」