テキストサイズ

幸せの欠片 *超* 番外編

第2章 真夜中の訪問者


もう、会う事は絶対にないと思ってた

思い出の中でしか、かずと話す事は叶わないと思ってた

…まあ、亡くなったんだからそれが普通なんだけど


目の前にかずがいる

それが例え幽霊だろうと妖怪だろうと、かずだと分かるだけで嬉しくなる


だけど

「ねぇ、かず」

「ん?」

「かずに、触れる事は出来ないの…?」

あれ?

でもさっき、かずは俺を思い切りつねった


もしかしたら、と手を伸ばしてまたもすり抜ける


「だーかーらー、これ何度目?」

呆れ顔でかずが溜め息を吐いた

「だってさっき、俺をつねっただろ?」

何でかずからは触れたのに、俺からは触れないのか分からない

…分かる訳ない


「あー、まぁ、それは色々と」

視線を逸らして濁すなんて、いかにも “何か隠してます!“ って言ってるのと変わらないと思うんだけど


「とりあえずさ、まだ弱いんだわ俺

もう少し待っててくれないかな?」

“この通り!“ と拝む真似をしたかずは、やっぱり別人のようだった



ストーリーメニュー

TOPTOPへ