幸せの欠片 *超* 番外編
第2章 真夜中の訪問者
「…これで最後。初めて会った日の天気は?」
かずと言えば、この天気しかないだろう
良くも悪くも、かずに深く関係しているし
何かのきっかけも、大抵はこれだった
「雨、だったね。凄いどしゃ降りで、傘もなくて。…ああ、相葉さんがナンパして、雨宿り出来た」
何かを思い出すように目を細めて微笑むのを見たら
「本当に……?」
もう、疑いようがない
「だからそうだって言ってるじゃん」
「夢、じゃなくて?」
「確かめてみる?」
「いたたたたたたたたたっ!!!」
いきなり俺の頬を両手で挟んだ次の瞬間、思い切りそこを捻り上げた
「ね、夢じゃないでしょ?」
「か……かず…?」
「ん?」
「かず!!」
目の前の彼……かずを抱き締めようとして、飛び付いて
かずの身体をするっと素通りした俺は床に叩き付けられた
「…さっき、分かったんじゃなかったの?」
呆れたようにかずが俺を見る
「あまりの嬉しさに忘れてた」
打ち付けた鼻を抑えて苦笑した俺に、かずが笑いだした
「相葉さんも、何だか別人みたいだよ」
そう言われたら俺も笑うしかなかった