幸せの欠片 *超* 番外編
第2章 真夜中の訪問者
「だって俺もそこまで詳しく聞いてないもん。
…いいじゃん、俺である事には変わりないんだからさぁ」
そうだけど
そうなんだけど
この引っ掛かるモヤモヤは何なんだろう
目の前の彼がかずだって、納得したのに何かが追い付いて行かない
「…相葉さん、今の俺は嫌いなの?」
かずがニコニコから一転、瞳をうるうるさせた
その捨てられた犬みたいな目はずるいと思う
「な…っ!嫌いじゃないよ?」
嫌いな訳、ないじゃないか
「だって顔がそう言ってる」
何だ?
顔が言ってるって
…そんなに俺、嫌な顔してた?
「違う。かずを愛してるのは全く変わってない」
そうすぐに口に出来るのは、嘘偽りなんかじゃないからだ
頭が追い付いてなくたって、例え実態がなくたって
かずを “愛してる“ 気持ちに嘘はない
「ほんと…?」
弱々しく訊ねるかずに、力強く頷いて見せる
「じゃあ、チューして」
「…は?」
「だって、愛してるんでしょ?」
ん、と唇を突き出すかずが、やたら可愛く見えたのは気のせいじゃない