幸せの欠片 *超* 番外編
第2章 真夜中の訪問者
だけどかずはニコニコ笑ってるし
その笑顔を見てると生気を吸い取られるくらい何だ!…と、思わなくもない
…ないけど
「相葉さん、手ぇ貸して」
言われるままに手を差し出したら
「……え」
「ね?」
触れてる
かずの手が、俺に触れてる
ちょっとひんやりしてるけど、間違いなくこの柔らかい感触はかずの手だ
「生気分けて貰ったら、少しの間実体になれるの。
…さっきは自分の力使ったけど、そうすると色々不都合が」
その “不都合“ の先が気になるんだけど、かずはゴニョゴニョと言葉を濁している
かずの(俺の知っている)性格からして、それを聞き出すのは難しいだろう
「分かった。無理には聞かない」
かずに何度言ったかな、この台詞
なんて、口にしてからふと懐かしく思った
「やっぱり相葉さん、優しいままだ」
嬉しそうにかずが笑う
そして
触れ合った手をどちらからともなく絡めて
お互いに見つめ合って
…引き寄せられるように、唇を重ね合わせていた