幸せの欠片 *超* 番外編
第3章 お墓参り
かずは、自分の墓石の周りを興味深げに回っている
たまに食い入るように見つめているのは何かあるのだろうか
綺麗になった墓石と、新しく生けた花
まるでさっきのやり取りはなかったかのような空気に、俺もかずの動きをじっと見つめていた
「ありがと、相葉さん」
「え?」
「…初めてでしょ?ここに来たの」
そうだ
お墓参りは愚か、自分は通夜も葬儀も参列はしなかった
嫌だったんだ。彼の死を認めるのが
心の何処かでかずは生きていると思っていたかった
「…知ってるけどね。葬式の時、相葉さん捜したけどいなかったし」
やっぱりかず、心を読んでる?
本人、気付いてなさそうな感じだけど
俺、声には出してない筈
まあ、かずになら読まれても構わないか
読んでいるなら、何故行かなかったのかも分かるだろうし
…疚しい気持ちなんて何もないのだから
「…来て、欲しかった?」
もしも自分がかずだったらどうだろう
…最期は最愛の人に見送って欲しいと思う
誰をおいても、一番大切な人に見送られたい