幸せの欠片 *超* 番外編
第4章 奇妙な同居生活
「ねぇ、かず?」
触ってるつもりで、かずの頭に手を乗せるフリ
その柔らかい髪は触れてなくても、掌が感触を覚えている
「朝までかずに触れるようにしたら、俺はどのくらいへたばる?」
「え……」
かずが目を丸くしている
「かずを抱き締めて、眠りたいんだけどな」
かずがしょげてたからじゃなくて、あくまで俺がかずに触れていたいんだ
毎晩のキスだけでは、もう物足りない
だけど仕事に支障が出るのは、生活する上で非常に困る
ならば今日みたいな休前日は?
万一寝込んでも、誰に迷惑掛ける事はないだろう
だってかずは
ご飯を食べる訳でもなければ、何か世話をしなければいけない訳でもない
「本気?」
「嘘吐く必要ないでしょ」
「…そっか、うん、そうだよね」
触れられないと分かってても、エアで頬を撫でた
…透けていれば、まだ諦めも付くんだけどな
どう見ても、触れられないのが不思議なくらいにはっきり姿が見えるからこそ、もどかしさが募る