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幸せの欠片 *超* 番外編

第5章 そしていなくなった



「え…?」

「今日はお留守番。行ってらっしゃい」


ネクタイを締める俺の後ろで笑って首を傾げるかずに、妙な違和感を抱いた


だってかずは、1日と空かずに俺の職場に着いて来てたし

“離れたくないんだもん“ って冗談めかしながらもその瞳は真剣だった


だから

「なんで?」

こう聞いてしまう俺は間違ってないと思う


だけど

かずはそれには何も答えずに曖昧に笑うだけで明確な答えはくれなくて


「なら、今日は有給使おうかな」

「え、なんで?」

「だってかずと一緒にいたいから」


いつもの様子なら “マジで?嬉しい!“ と食い付いてくれるはず

子どもみたいに感情を顕にする、今のかずなら




「…ダメだよ。仕事サボったら」

なのにかずから返ってきた言葉は予想を裏切っていて



ー…何かあった?

突然こんな事を言い出すかずを、不審に思わない訳がないじゃないか


「ほら、遅刻しちゃうよ」

「あ、うん、…ねぇ、かず」




「……バイバイ」

閉じるドアの音に混じったそれは、俺の耳には届いてなかった




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