幸せの欠片 *超* 番外編
第5章 そしていなくなった
考えてみたら、昨日のかずはどこかおかしかった
週末以外は互いの身体に触れる事なく、寝る前のキスだけなのに
“…ちょっとだけ“
と、自分の力を使って俺に抱き着いてきたんだっけ
困ったように笑いながら “我慢しなきゃいけないのにね“ なんて言って
だけどそれ以上に進む事はなく
単に恋しくなったのかなと思っただけだったから、かずの好きにさせといた
…かずも、これと言ってそれ以外には特におかしくもなかったし
どういう力を使ったのか知らないけど、やっぱりかずに話をしようと玄関に手を掛けたらそれは開かなくなっていて
案の定カギなんて何の意味もなしてなくて
…こんな気分のまま仕事に行っても無理だろ
まともに業務なんかこなせないに決まっているじゃないか
だけど
ここで有給を無理矢理取っても、家に入れなければどうしようもないし
そうなれば仕事に行くしか選択肢は残されてない訳で
ー…ちゃんと待っててくれよ
考えたくないけれど
想像するだけで心臓が痛くなるけれど
……なんとなく、そんな気がした