幸せの欠片 *超* 番外編
第2章 真夜中の訪問者
「良かった、セーフ!」
ニコニコと笑う顔は何処をどうみてもかずだけど
かずなんだけど
…かずは確かに1年前に亡くなった
それは間違いのない事実で
だけどそれより何より
どうやって此所に入って来た?
ってか、いきなり目の前に人がいるってどういう状況?
「あの……」
どちらさま?と聞いた俺は間違ってないと思う
なのに目の前の彼は、あからさまにムッとした顔をした
「たった1年で忘れちゃうわけ?」
「え、いや、違くて、えーと…」
「俺、分かる?」
「…かず……?」
ムッとした顔がパッと笑顔に変わる
「分かってんじゃん」
そうだけど
そうなんだけど
俺の知ってるかずって、こんなちゃらけてなかった
もっと控えめで
はにかんで笑うのが精一杯だったし
そもそも言葉使いもテンションもまるで違う
「本当に、かず…?」
だからまだ信じられない
信じられる訳がない
この世にいない彼が、…いる筈ない