Everyday Love
第24章 Freak Out【白黄】
ジャスミンによれば最初のときから半年も経つという。必死に抵抗したが男に何人も押さえつけられればいくら戦闘に長けているジャスミンでも振り解けない。
それから定期的に突然、押さえ込まれては残忍な行為を強要されていたらしい。
「な、何で言わなかったんですか!」
「言えるわけないじゃない!!」
ジャスミンの大声にぐっと押し黙る。
「…写真も撮られて。『誰かに言えばこれをばら撒く』って言われて。どうも出来なかったのよ!」
どこまでも腐っている強姦魔達の根性に、だとしても言って欲しかったジャスミンに、そして気付かなかった自分の無力さに。
腹が立って腹が立って仕方がなかった。
テツが床に拳を打ち付ける。拳が赤く染まる。でもジャスミンが感じていた痛みに比べれればこんなものちっぽけなものだ。
「ジャスミンさん」
「…っ、テツ」
テツがジャスミンを抱きしめる。力いっぱい。今までの苦痛を和らげるかのように。
「気付かなくてごめんなさい。無力でごめんなさい。一緒に戦ってきた仲間なのに、俺、俺…。」
「…テツは悪くないわ…」
悔しくて悔しくて涙が出てくる。何で俺が泣いているんだ。1番苦しいのはジャスミンさんなのに。
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
「て、つ…」
ふと、ジャスミンがテツを抱き締め返した。
「ジャスミンさん?」
「私も…みんなを頼らなくてごめんなさい。信じてなかったわけじゃないの。怖かったの…。嫌われたらどうしようって…」
「嫌いになるわけないじゃないですか!」
突然の大声にジャスミンは目を見開く。
「ジャスミンさんは大切な仲間です。これからも戦っていく、背中を預けられる仲間なんです。嫌いになんて…なるわけがない…」
ジャスミンは目を見開いたまま、そしてそのままその目から涙が溢れ出た。
やっと泣けたんだな、とテツは思った。
「こわかった…死にたいって思ったときもあった…」
「怖かったですね。もう大丈夫です。俺……達が…いますから。」
堰を切ったように声を上げて泣き続けるジャスミンをテツは強く強く抱きしめた。
「俺が」と思わず言ってしまいそうになった訳を知るのはまたあとのこと。