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今夜も君をオカズにする

第5章 臨界点

次の月曜日も先輩は来なかった

一人、蔵書に囲まれて

本を読む

それだけだった

ふと、日が傾いて

駅のことを思い出す

先輩に呼ばれたわけでもなく

僕は文芸部室に鍵をかって

学校を後にする

いつもと同じ通り道を通って

いつもと同じ、反対側の駅に行く

一つ違うのは

いつもと違って日が高いこと

改札を抜けて

裏手に出る

少しの期待と

少しのもやもや

障がい者用のトイレの前に立つと

かくして、トイレの鍵は掛かっていた

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