
溺れてみたい
第3章 三
そのせいか性格は悪く、他の兄弟が嫌う程我が儘だった。
……それに加え独占欲も強いから、どうしようもない。
「はい、奈都さん……」
リビングのソファに座っている奈都へ、ダイニングキッチンから返事をする。
夕食の後片付けが今済んだばかりで、まだお風呂にも入っていない。
それなのに奈都は既にソファから立ち上がり、リビングのドアの前に立ってこちらへ手招きする。
「由来、早く」
「は、はい……お待ちください」
「じゃあ兄貴、おやすみ」
そして一緒にソファへ座っていた椎名に向かってニコッと微笑むと、そのままドアから出ていった。
