
溺れてみたい
第3章 三
……わ、わざとらしい。
明らかに今、椎名にケンカを売った。
その証拠に、椎名の顔が般若の様に険しくなっている。
「由来ちゃん……」
「は、はい、どうしました?椎名さん」
「奈都は、その、上手……なのかな?」
「え?」
「セックスだよ!セックス!」
焦った様に目をキョロキョロさせて話す椎名に、私は思わず何度も瞬きをして無言になった。
「……だってさ、由来ちゃん、ここ何日もずっと夜奈都と寝てるから……奈都の事好きなのかなって……」
「そんな事、ありませんけど……」
……何を言ってるの?この人。
私が貴方達兄弟に恋愛感情を抱くとでも?
そんなわけないじゃない。
