
溺れてみたい
第4章 四
「……は?逃がすって、何言ってんの?」
「もう、嫌なの。私だってあんた達と同じ人間なのに、どうしてこんな扱い受けないといけないの……?藤夜は分かってくれるでしょ?」
「分かるけど……」
そう言いながら、藤夜は体を起こす。困惑した様な表情。
まさか、ダメなの?やっぱり藤夜も椎名達の味方?逃がしてくれないの……?
「私には藤夜しかいないの。お願い、藤夜……」
「分かった。でも……一つ、お前に頼みがある」
「頼み……?」
夜月に照らされた藤夜。その瞳はまっすぐに私を見つめる。
「俺の彼女になってよ」
「彼女……?」
「由来を俺の彼女にしたい」
はっきりと告げる藤夜は、そのまま私へ問い掛けた。
「ダメか?」
「いや……別にいいけど……」
何で私?
でも、それで逃げられるならお安いご用だ。
