眠れない夜を抱いて
第2章 その男、αにつき
すっかり話し込んで、気が付いた時には辺りが薄暗くなっていた
それだけ夢中になって話すのも珍しいけど、飽きていない自分にもびっくりだ
だから、“友達になって欲しい“ と言う申し出にも二つ返事でOKした
もっと知りたいと思ったし
一緒にいて疲れない人は珍しかったから
それに、何でだか本能が
…離れちゃダメだと言ってる気がした
「ホントに送らなくていいの?」
「当たり前だろ、1人で帰れる」
スムーズに連絡先を交換し、さあ帰ろうとした筈が
…このやり取りだけで10分費やした
平気だと何度言っても「だって心配なんだもん」と繰り返す
最終的には、あまりにしつこいから「だったら友達になるの無し!」と通告して、諦めさせた
しょぼんとした顔は少し可哀想かなとも思ったけど
そこまで俺はか弱くはないつもりだし
家までもそう遠くない
渋々承諾した相葉さんに「着いたら連絡するから」と約束し、家に向かった俺は
ちゃっかり彼が後ろから付いてきてた事には、…全く気付いていなかった