眠れない夜を抱いて
第2章 その男、αにつき
こいつ……「相葉雅紀」は俺と対等に話した
俺をΩだと分かっても、最初からその態度は変わらない
そこも、今までのαと全然違うと思った
「ねぇ。にのはさ、αをどう思う?」
…名前を教えた途端「じゃあ、にのって呼ぶ」とすぐに馴れ馴れしく呼び名を変えた
まあ、別に嫌じゃないからいいんだけど
「一番恵まれてる、幸せな奴ら」
常に最下級に見られる俺らからすれば、ムカつくくらいに全てに秀でている
俺らが人一倍努力して、やっと身に付けられるものを簡単にやってのける才能がある
「やっぱ、そう見えてるよね」
相葉さんが苦笑した
「だってそうだろ。αは、Ωみたいに見下されないし」
「そう、かな」
「…違うの?」
なんだろ
相葉さん見てると、αなんだけどαに見えない
「色々あるよ、αも」
「ふーん」
どう答えて良いか分からないから、適当に濁す
だって俺には、αの世界は分からないから
ただ
何だかんだ言って、生きやすいのはβ…つまりは“普通“ が一番ってのは理解したけど