眠れない夜を抱いて
第4章 瀬戸際の優しさ
それは、今までに見た事のない目をしていて
近付いたらいけない、と本能で思った
怖い、と脳が訴えている
だけど
足は固まってしまったみたいに動けない
完全に足が竦んでしまっている
「にの」
ゆっくりと相葉さんが立ち上がる
一歩、また一歩と近付いてくる毎に心臓が高鳴っていく
…何だこれ
身体がおかしい
そして
相葉さんが肩に触れた瞬間に
身体中の血がまるで沸騰したかのように全身が熱くなった
ー…ヤバい!
これ、発情期だ
「にの…、何で追いかけて来たの」
相葉さんの息も荒くなっている
こうなれば嫌でも分かる
俺のフェロモンで相葉さんもヒートを起こしているんだ
「ヤバいから、帰って来たのに」
「…っ」
「こうなると止まれないから、怖かったのに」
俺の肩を掴む手に力が入る
その手は微かに震えていて、相葉さんも何か耐えるような苦し気な表情になっていた
怖いのに、逃げたいのに
気持ちとは裏腹に身体はαを求めて疼き出す