眠れない夜を抱いて
第4章 瀬戸際の優しさ
「にの」
強い力で抱き締められ、抑え付けるように唇が奪われて
本能のままに、相葉さんが俺のシャツを乱暴に剥ぎ取って行った
外し損ねたボタンが布をちぎって飛んで行くけど、どうしようもない
「や…っ、あ…!」
ここが外だとか、人が通るとか
そんなのはまるで見えていない相葉さんは、完全にαの性に支配されている
そして俺の身体もまた、Ωの性に従ってαを求めて疼きが大きくなっていく
優しい言葉1つ、ある訳じゃない
それこそ端から見ればレイプにしか見えない乱暴な行為
怖くてたまらないのに、相葉さんが、αが欲しくなる
これが発情期の怖さなのか
自分にとっても初めての衝動に、何をどうして良いか分からない
まるで媚薬でも飲まされたかのような熱は、自分ではもう、対処なんか出来ない処まで来ている
「あ…っ」
ふと、相葉さんが軽々と俺を肩に担ぎ上げた
「ごめん…っ、止まれない…」
苦しそうに呟いて、そのまま歩き出すと
タイミング良く走っていた空車のタクシーを止めて有無を言わさずに俺を押し込め、自分もその隣に転がるように乗り込んだ