眠れない夜を抱いて
第4章 瀬戸際の優しさ
だけど
我に返ったと思ったのは一瞬で、相葉さんの瞳は未だ獣のような鋭い光を放っている
支えた身体を冷たい廊下に降ろして、まだ玄関先だというのを無視して彼の身体が覆い被さった
背中に当たるひんやりとした感触は、冷静にするどころか熱を持つ身体には起爆剤にしかならなくて
身体の奥からも、αを求める蜜がとめどなく溢れだしている
「ああ、あ、…っ!」
触れられる全ての場所が快感を訴える
早く奥に欲しい
相葉さんの熱が欲しい
広い背中にしがみつき、強請るように耳許に唇を寄せて
「早く…っ」
散々喘ぎ過ぎて声にならない声で相葉さんを煽り立てた
間違いなく、相葉さんにはまだどこかに理性を残している
αが本能のみで抱けば、こんなに何かを考える隙なんて与えられる訳がない
それはきっと
俺には想像が付かない程の強靭な気持ちがないと無理な事で
滅茶苦茶にされてしまいたいΩの本能と
相葉さんの優しさを天秤に掛けてしまう自分が情けなく感じた