眠れない夜を抱いて
第4章 瀬戸際の優しさ
背中にしがみついて、固く目を瞑って
諦めにも似た気持ちでいたにも関わらず、痛みはいつまでも訪れなかった
相葉さんは変わらず項に顔を寄せているのに
…繋がったまま、動かなくなった彼を不審に思って少し身体を離すと
「え、ちょ…っ」
相葉さんが俺の項ではなく、自分の手の甲を強く噛んで血を滴らせているのが分かった
「セー…フ」
そう言って笑ったその顔は、優しい相葉さんそのもので
「相葉さ…」
「…俺の理性、凄くない?」
痛みに顔を歪めながら苦笑いする彼に、思わず目を開いた
「何して…」
「強引な番にはさせたくなかったんだよ」
“かなりヤバかったけど“
そう言って俺からゆっくり自身を引き抜いた相葉さんは「ごめん」と俺を簡単に抱き上げて
まだ自身は衰えていないにも関わらず、ベッドまで俺を運ぶと、優しく身体を横にしてくれた
「ちょっと休んでて」
それだけを告げた相葉さんは、俺から目を逸らして寝室を出て行ってしまって
俺にはただその姿を目で追う事しか出来なかった