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眠れない夜を抱いて

第5章 揺れる。


「どうしたの、にの。さっきから上の空で」

「あ、…いや、何でも。ごめん、早く包帯巻かなきゃね」

取り繕うように笑って、手当てに意識を集中させる

さっき、相葉さんが自分で巻いたそれより格段に綺麗に彼の手を白く包め、思わず1人頷いた

「にの、器用」

「自分でも、ちょっと思った」

ふは、と吹き出すと相葉さんもつられて小さく吹き出す

「何かもう、ずっと巻いてたいかも」

「何言ってんの」

キラキラした目で、子どもみたいに包帯を見つめる相葉さんが、輝いて見えた



…相当な勢いで、俺も相葉さんに惹かれてる気がする

その気持ちには、とっくに気付いていた


だけど

まだ、一生を左右する番になるには

心は追い付いてはいない



「綺麗に包帯も巻いて貰った事だしさ」

「ん?」

「もう一回、ゆっくり寝よう!」

「え?」と返すと同時に相葉さんに身体を抱き込まれ、あっという間に腕の中に納められた

「何もしないから、このまま…」

そう言って目を閉じた相葉さんからは、すぐに寝息が聞こえてきて

俺もその腕の暖かさに、自分から身体を更に寄せてから、ゆっくりと目を閉じた

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