眠れない夜を抱いて
第5章 揺れる。
薄く笑いながら言ったその言葉は、口振りとは似合わないくらい、重い
Ωである事を受け入れて生きてる自分でも、やっぱり胸を抉る
だけど大野さんがそれを口に出来るのは、その運命を知り尽くしているからだと思えば、重いけど不快にはならない
「ま、その慎重さがお前の良いとこでもあるか」
「うーん……、どう、なんだろ」
「けどさ、相葉くんみたいなαはまずこの先出会わないだろうよ」
結局、大野さんに打ち明けても何の解決策も見つからなかった
とはいっても最初からあまりそこは期待してないけれど
自分の揺れる気持ちを誰かに聞いて貰いたかっただけだ
それに大野さんは、どんなに親しい人間でも自分の意見を押し付けない
下手に言って従われても、責任が取れないからだと言っているのを知っている
分かっていながらも話すのは、…つい話したくなる不思議な雰囲気だからなのか
大野智と言う、人間がやっぱり好きだからなのか
長く付き合っていても、分からない部分だった