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眠れない夜を抱いて

第6章 限界はすぐに訪れる


…またか

あからさまに腰に触れる手を払いのけ、わざと大きな舌打ちをして見せた

一度は離れるも、暫くすると再びぴたりと背中にくっついてきて、その感触に鳥肌が立つ



何だってこう、満員電車にツイてないんだろうか

避けたくても避けられないから仕方なく乗っているけれど、さすがに嫌になってくる

相葉さんからも、気を付けるようにと散々言われてるけれど

はっきり言って回避のしようがないのが現状だ


誰が好きで触らせると言うんだ


…相葉さんと出会ったあの日を最後に、もう混雑する電車には乗らないつもりだったのに

どうしても都合上乗らざるを得ない状況が増えてしまったのは、ツイてないとしか言いようがない

でもホント

いい加減、車買った方がいいかなぁ、とも思う

そんな余裕ないけど



目的の駅に着いたとこで、くそムカつく痴漢の足をわざとジャンプするようにして勢い良く踏みつける

「い…っ」

痛みに悶える呻き声に “死ね“ と小さく呟いて

人波に紛れてさっさとホームへと降り立った



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