眠れない夜を抱いて
第6章 限界はすぐに訪れる
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「電車、もう乗るの止めない?」
黙っているのも何だか嫌で、相葉さんに報告するけれど
返ってくるのはいつもこの言葉
そんな事を言われても困る
だって出来るものならとっくにそうしているに決まってるじゃないか
まあ、相葉さん自身も半分本気、程度なのは伝わるけれど
「聞く度に、ヒヤヒヤする」
さりげなく背中に回された手に、一瞬で身体が熱を帯びた
あっという間にそれは全身を覆い尽くしていく
ああもう!
抑制剤飲んだばかりなのになんで?
「お、俺ちょっとトイレ!」
相葉さんに気付かれる前に、慌ててその手から逃れて距離を取った
他の奴に、…それこそ友達に何処を触られても何も感じないのに
何故か彼が少し触れるだけでこの有り様だ
発情期でもないのに
だけどこのままでは相葉さんは愚か、周りにもしもαがいたら、洒落にならないなんてものじゃない
訝しがる相葉さんを置いて、急いで走り出した