イチャコラミックス
第4章 よっつめ
「校長先生が差し入れてくださるスイーツのお店。何度教えていただいても辿り着けなかったんですけど、昨日やっと行けました!」
二学年主任の小路田先生は甘いものに目がない。そんな彼がかねてより行きたがっていたのは、校長の幼馴染がやっていると言う喫茶店だ。
「珈琲も最高でした!あんな美味い珈琲、生まれて初めていただきましたよ。」
「良かったですねぇ。」
校長先生がにこにこと小路田先生を見る。
「小路田先生、何を買ったんですか?ダメじゃないですか~お土産買ってきてくれなきゃ。」
「昨日はカラフルなマーブル模様のマカロンでした。」
「昨日は、ってことは日替わりなの?」
「はい、その日の気分で作っているそうで。」
気まぐれ、そんな言葉が似合う。
喫茶店の名を『濁った天』と書いて濁天と言った。
現実にあり、また非現実に存在するその店は、客を選ぶ。
辿り着ける時と辿り着けない時があるのはそういう事なのだ。
「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ。」
様々なブルーのステンドグラスが日に当たりキラキラと輝くドアを開けると、初老の男性がカウンターの向こうでニコニコと微笑んでいる。
立ち姿の美しい、銀幕のスターにも引けを取らない出で立ち。
客は足を踏み入れてすぐ、まずは彼に魅了される。
「カウンター、よろしいですか?」
「勿論。どうぞ。」
「本日の…オススメを。」
珈琲とスイーツのセットである。
「かしこまりました。」
客を相手にしてるからには違いないが、自分にだけ向けられる微笑みに多くは妙な勘違いを覚える。
ポットを持つ手、カップに触れる手、そして
「どうぞ。本日のオススメはメキシカンブレンドとシナモンクッキーです。」
皿を客の目の前に置き、離れるまでの所作。
そのどれにも無駄がなく、ただ美しい。
喫茶店マスター倉田清和55歳。
こんなに魅了されるのも仕方ないこと。
彼は人間と悪魔のハーフなのだ。
「おやおや、少しお疲れのようだ。どうぞゆっくり休んで行ってくださいね。」
悪魔にもタイプがある。
暴食、傲慢、嫉妬、怠惰、強欲、憤怒、色欲。
彼は色欲の要素が強かった。
「そんな風に頬を赤らめて。お熱があるようだ。少し奥の部屋で休んで行きませんか?お薬をお持ちしましょう。」
いや、熱は上げているだけ。
彼女は悪魔に魅了されただけなのだ。
二学年主任の小路田先生は甘いものに目がない。そんな彼がかねてより行きたがっていたのは、校長の幼馴染がやっていると言う喫茶店だ。
「珈琲も最高でした!あんな美味い珈琲、生まれて初めていただきましたよ。」
「良かったですねぇ。」
校長先生がにこにこと小路田先生を見る。
「小路田先生、何を買ったんですか?ダメじゃないですか~お土産買ってきてくれなきゃ。」
「昨日はカラフルなマーブル模様のマカロンでした。」
「昨日は、ってことは日替わりなの?」
「はい、その日の気分で作っているそうで。」
気まぐれ、そんな言葉が似合う。
喫茶店の名を『濁った天』と書いて濁天と言った。
現実にあり、また非現実に存在するその店は、客を選ぶ。
辿り着ける時と辿り着けない時があるのはそういう事なのだ。
「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ。」
様々なブルーのステンドグラスが日に当たりキラキラと輝くドアを開けると、初老の男性がカウンターの向こうでニコニコと微笑んでいる。
立ち姿の美しい、銀幕のスターにも引けを取らない出で立ち。
客は足を踏み入れてすぐ、まずは彼に魅了される。
「カウンター、よろしいですか?」
「勿論。どうぞ。」
「本日の…オススメを。」
珈琲とスイーツのセットである。
「かしこまりました。」
客を相手にしてるからには違いないが、自分にだけ向けられる微笑みに多くは妙な勘違いを覚える。
ポットを持つ手、カップに触れる手、そして
「どうぞ。本日のオススメはメキシカンブレンドとシナモンクッキーです。」
皿を客の目の前に置き、離れるまでの所作。
そのどれにも無駄がなく、ただ美しい。
喫茶店マスター倉田清和55歳。
こんなに魅了されるのも仕方ないこと。
彼は人間と悪魔のハーフなのだ。
「おやおや、少しお疲れのようだ。どうぞゆっくり休んで行ってくださいね。」
悪魔にもタイプがある。
暴食、傲慢、嫉妬、怠惰、強欲、憤怒、色欲。
彼は色欲の要素が強かった。
「そんな風に頬を赤らめて。お熱があるようだ。少し奥の部屋で休んで行きませんか?お薬をお持ちしましょう。」
いや、熱は上げているだけ。
彼女は悪魔に魅了されただけなのだ。