テキストサイズ

イチャコラミックス

第5章 精霊彼女の良い土

「結局のろけじゃん。」
卵焼きを頬張り、モゴモゴさせながら次朗が晴一を見る。
「…仕方ない。神鳥が可愛いのは共通認識だろ?」
「コワいい、じゃなくて?」
松井がニヤリとわらう。
「いいですね、そういう話はホッコリしますよ。癒されます。」
香田はそう言うと、眉を八の字にして微笑んだ。
「惚気で癒されるとか、若者にしては達観し過ぎなんじゃないの?リョウちゃん位の年齢なら『そういう事』への興味が溢れ出る時期でしょ?」
「みんながみんなそうじゃないだろ?」
晴一が次朗をたしなめる。
「無理に抑え込むのは不健康だって言いたいだけ。俺でよければ手伝うよ?」
「絶対いやです」
「やめなさい 」
次朗の軽口に対し、香田と晴一の声が綺麗に重なる。
「次朗さんが良くてもミカが良くないでしょ?勘弁してくださいよ。俺は貴方のそれに耐性ないんですから。」

『次朗のそれ』とは、彼から発せられる誘惑物質の事である。フェロモンと言った方がわかりやすいか。
これ、好きな人や恋人がいる人には平気なんだけど、フリーだとあてられちゃうんだよね。
恐ろしや、淫魔。

「早く作りなよ、カノジョ。」
「松井先生まで。香田は受験生だし、他に集中したい事もあるだろ?」
「三年生はこの時期、くっつく子が多いんですよ。残り少ない学校生活だからこそ一緒にいる時間を増やしたい、そういう思いなんでしょうね。」
「…そうか、なるほどなぁ。」
晴一が松井の話に頷く。
そう言えば自分が顧問を務める料理部の子達もそんな会話していたっけ、と思いながら。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ