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「例の映像を見せてくれないか」

第二取調室に居る刑事に声を掛けると穴が悪ほど見続けた映像を再び視聴する。

土砂降りの中、女は靴屋の軒先で雨宿りをしている。

「雨宿りをする意味が分からない」
「ですよね。既にずぶ濡れ状態なのに」

女は10分程度の雨宿りをすると弾かれたように小走りをして映像から消えた。

「女が走り出した方向は横断歩道だよな」
「はい。横断歩道を渡ってタクシーに
乗車したと思われます」

その映像を何度も巻き戻しては視聴するという作業が続いた。

仮に普通の雨宿りだったとしても10分も待たせる信号機は厚木市内のどこを探しても無い。

信号機も映像には映っていない。

三姉妹の取り調べを行った刑事は先程の不信感を抱いた女を思い出す。

『エメラルド……煌々と光を放つ緑色の石……』