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COLOR’S~殺したのは私~

第33章 碧海VS一茶(AOMI SIDE)⑤

「哲也ぁんッ……もっとぉッ……ぁあんッ」

両親が不在中の実家に哲也を招いた。

今の私は一年前琥珀がされていたようにベッドの四つ角にロープで手足を縛られている。

琥珀を陥れる駒にしか過ぎなかった哲也に恋心を抱いたのはまさに一年前のこの瞬間だった。

なりふり構わず哲也に身体を愛されている琥珀に嫉妬した。

当時は見ていられなくなり私だけが廊下で耳を塞いでいた。

「琥珀ぅッ……好きだよぉ……愛してるよぉ」

私は未だに琥珀を装っている。

この部屋もベッドも琥珀のもの。

哲也に「琥珀」と呼ばれる度に胸が切り刻まれる思いだった。

「碧海」と呼ばれたい。

「碧海愛してるよ」と囁いてほしい。

全てを打ち明けてしまいたい衝動に何度も駆られた。

しかしそれは哲也と私だけの問題じゃない。

一茶と朱夏そして当事者の琥珀を巻き込むことになる。

全ては私の自作自演だったと打ち明けなくてはならない。

一茶、朱夏、琥珀に軽蔑されるのは構わない。

一茶に至ってはとっくの昔に愛情が冷めている。

でも……哲也には軽蔑されたくない。

嫌われたくない。

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