お医者さんは何でも知ってるっ
第2章 ②
引き扉を引くと、灰色の待合席にお母さんが座っていた。
"終わった?"
「うん。」
"じゃ行こっか。"
「うん。」
この不安をお母さんにバレないように隠すのは簡単だった。
だけど、失くすのは難しい。
"循環器科" という看板が目に入ると、
私は少し歩く速さを遅くして、お母さんのあとを付いていくように歩いた。
お母さんはキビキビと歩く。
まるで私に迫り来る"地獄"を知らないから。
去年はどうやって診察受けたっけ。
…そうだ。
診察台の上で、静かに涙を零したんだ。
今年は…??
そして来年は…??
出来るだけ記憶に残らないように、
淡々と終わらせよう
恥ずかしくない、大丈夫、大丈夫……