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真知子からの招待状

第58章 佐伯胡桃の想い⑧

愛菜が斗真の手を引き

ベッドの脇まで連れてくると

お父さんとお母さんとお姉ちゃんは

一歩引いた。


斗真が私に声を掛け手を握る。


私の耳に届かなくても心には届いた。


今はこれだけで充分。


斗真の元へ戻れただけで充分。


斗真と私に気を使ってか

家族共々病室から出ていった。


「く・る・み・お・か・え・り」


斗真の口元がゆっくりと動き

言い終えると

いたずらっ子のような笑みを浮かべ

私に唇を重ねた。

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