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BL短編

第5章 Honey Trap

「久しぶりだね、廣樹。」
「佑弥も、元気そうで良かった。」
「あのさ…前からお前のこと好きだったんだ。」
「え、俺男だけど…。」
「キスしたい…ダメ?」
「ダメ…。」
「でも、しちゃう。」







「……ダメだっ!」
「…何がダメなんだ、田村。」
「え、あ、いや…すんません。」

6時間目の英語の時間。いつの間にか爆睡してしまったようだ。
クラスのみんながクスクス笑ってて恥ずかしかった。しかもあんな夢見るなんて…。
会いたいな、佑弥。




「あ、高瀬くんだ!カッコイイね〜。」
「ほんとだー!カッコイイー!」
女子の目線の先には噂の高瀬くんがいた。
間違いない、やっぱり佑弥だ。

「佑弥!!」
「え?」
「お前もこの学校だったんだな!」

俺は嬉しくなってつい声を掛けてしまった。
だけど、俺が思ってるような返事は返ってこなかった。

「誰、お前。」
「え…、俺だよ。田村廣樹。小さい頃遊んだじゃないか。」
「知らないよ。しかも俺、佑弥じゃなくて、茜だから。」
「…え?」





どうやって家に帰ったか、覚えてない。
何年も前のことだし、今の顔も知らないから雰囲気でしか分からない。
悲しかった、やっと佑弥に会えたと思ったのに。

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