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ジッパー様

第5章 初めての誘い

 違う……今日私に声をかけてくれたのはそんなんじゃない……。ただ上司として心配してくれただけだ。


 そう、片桐部長は妻子持ちだ。
 だから私の想いは、絶対に表に出してはいけないし、期待してもいけない。


 席に戻ると、机の上に書類のファイルが置いてあった。この量からして、残業は確定だ。
 

 仕事しよう。
 仕事してれば、昨日のことも思い出さずに済む。


「あ……もう七時か」


 気づけばフロアには私一人しかいなかった。パソコンの電源を切って、帰る支度をする。
 

「……」


 窓の外は真っ暗だ。
 あの喫茶店の中では、今でもメガネ女たちが淫らに快楽に溺れているんだろうか……。


 ズクンと下腹部が疼く。


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