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ジッパー様

第5章 初めての誘い

「鈴村さん? まだ残っていたんだね」

「か、片桐部長っ……」


 ハッとして振り返ると、片桐部長が私のそばまで歩いてきた。少し近い。


「すみません、すぐに帰りますっ……」

「ああ、急がなくていいよ。残業お疲れ様」

「……っ」


 片桐部長は私に笑顔を向ける。でも私は恥ずかしくてまた俯いてしまった。


「またボーッとしてたね。何かあったのかい?」

「……っ……」

「今日の朝も窓の外を見ていたけど……もしかしてあの喫茶店で何かあった?」

「えっ……」


 どうして喫茶店のことが話題に出てくるの? まさか、部長……あの事を知ってるんじゃ……。



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