テキストサイズ

ジッパー様

第21章 ジッパー様との出逢い

「えっ……なに?」


 小鳥は私の肩の上に乗ったまま動かない。


「……あなた、人懐っこいのね。どこから来たの?」


 答えるわけないと思いつつも、ついつい話しかけてしまう。すると小鳥は机の上に移動すると、手紙の束から一通の白い封筒をくちばしでつつき始めた。


「なにしてるの?」


 まるでこの白い封筒の中身を開けろと言われているみたい。
 私は誰からの手紙なのか気になって封筒を確認したけど、名前が書かれていなかった。


「誰……?」


 白い封筒を開けると、一通の手紙が入っていた。そしてそこには『もう一度、あなたに触れたい』とだけ文字が書かれていた。


「もう一度……あなたに触れたい?」


 すぐにあの人の顔が浮かんできた。


「そんな……。だって彼はサヤと結婚を決めているのよ……。そんなわけない……」


 だとしたら誰だろう。そういえばルークも私に触れていた。でも彼は名無しで手紙を出すようなことはしないだろう。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ