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ジッパー様

第21章 ジッパー様との出逢い

「でも、爵位のない男はもうどうでもいいの。全部お姉様に差し上げてよ?」

「……」

「ふふっ。あたしね、結婚するの。相手はルーアニアの貴族よ」

「えっ……」


 まさか、それって……。


「この前のパーティーで出会ったのよ。結婚を前提にお付き合いしてくださいって言われたわ」

「……っ……」

「やっとあたしにも運が回ってきたというわけ。だからシホお姉様は、せいぜい底辺の男だけ食べてなさいよ」


 サヤは嫌みったらしくそう言うと、笑いながら部屋を出て行った。


「そんな……」


 じゃあ、あの人はサヤに結婚の申し込みをしていながら私と……。ううん、私にしたことは、彼にとっては何の意味もなかっただけ。ただ同情されただけ……。


 ……もう、疲れたわ。
 もう、自由がないのなら、いっそ……。


 そう思って、自分の部屋の窓を開けた時だった。外から一羽の小鳥が飛んできて、私の肩に乗った。



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