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ジッパー様

第22章 ジッパー様の正体

 サヤ……今頃どうしてるだろうか。ジッパー様が現れなくてショックで、寝込んでいるかもしれない。
 そしてお父様も黒澤も、きっと血眼になって私を探してるに違いない。


「シホ様? 大丈夫ですか?」

「えっ……あ、大丈夫よ」


 私はマヤが作ってくれたクッキーを一口食べた。紅茶の香りがして、とても美味しい。


「今日はいい天気なので、少し風を入れましょうか」


 マヤが気を遣って窓を開けてくれる。すると爽やかな風が頬をくすぐった。


「気持ちいい……」


 青く澄み渡る空と小鳥の羽ばたく姿を見て、世界はこんなにも穏やかだったのかと温かい気持ちになった。


 すると一羽の白い鳥が部屋の中に入ってきて、私の肩に乗った。




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