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ジッパー様

第22章 ジッパー様の正体

 それから私はしばらくジッパー様の屋敷にお世話になることにした。誰も咎めてきたりしないし、詮索もしない。ジッパー様も優しい。私は本当に自由になれたみたいだった。


「シホ様、お茶の用意ができましたよ」

「ありがとう、マヤ」


 マヤは私と同い年のメイドだった。いつも明るくて私を気遣ってくれる。


「マヤの煎れるお茶はいつも美味しいわ。このクッキーもマヤが作ったのよね?」

「ふふっ、気づいてもらえて嬉しいです! そうなんです、最近料理長に教わったんですよ。どうやらこのクッキーは、ジッパー様の故郷のお菓子らしくて」

「ジッパー様の故郷?」

「はい、ジッパー様はルーアニア出身なんです。私は行ったことないですけどね」

「ルーアニア……」


 そういえばサヤがそんなことを言っていた。


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