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ジッパー様

第22章 ジッパー様の正体

「私はずっと研究員の言いなりでした。ただ子孫を残すことだけを考えていた。でも、人間に擬態して人間として生活していくうちに、倫理観を持つようになりました。そして今やっていることが、いかに極悪非道なことかわかったのです」

「……っ……」

「私は擬態能力を使って研究室から脱出しました。人間を騙すのは簡単でした。そしてその脱出に協力してくれたのは、ジッパー・ヘンドリックという椅子職人の青年でした。もちろん彼も実験材料として連れてこられたうちの一人です。彼は言いました、『自分はもう長くないから、代わりに生きてほしい』と」

「!」

「だから私は、ジッパー・ヘンドリックとして生きていくことに決めたのです。ただ子孫を残すためだけではなく、人間らしい人間として生きていくことに――」



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