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ジッパー様

第23章 絶望

 野犬の声はどんどん近づいてくる。同時に、複数の人の声も聞こえてきた。


「シホ様、地下室に隠れましょう」

「……っ」


 よくないことが起きている。
 何かが、この屋敷に近づいてきている。


「マヤ、ギルバートさんは大丈夫なの……?」


 今ギルバートさんは一人で屋敷の外にいる。


「大丈夫です、ギルバートさんは強いですから。素手で熊を倒しちゃうくらい、強いですから」

「……」


 冗談なのか、本当なのかわからないけど、ギルバートさんが強いことはわかった。


 私とマヤは地下室に入った。
 ふとここで、初めて本当の姿のジッパー様と繋がったことを思い出す。


「どうしたんですか、シホ様。顔が赤いですよ?」

「な、なんでもないわ……」


 私ってばこんな時に、何度もされたことを思い出すなんて……。




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