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ジッパー様

第23章 絶望

 私たちは地下室にあるベッドに座って、時が過ぎるのを待った。
 野犬の吠える声が更に激しくなる。それに複数の足音と、怒鳴り声が響いてきた。


 一体何が起きているの?
 まさかジッパー様が居ない時にこんなことが起きるなんて……ジッパー様は無事なんだろうか……。


「……っ……」
 

 マヤの顔がどんどん引きつっていく。きっと外にいるギルバートさんのことが心配なんだろう。
 私は無言で、マヤの震える手を握った。


「……シホ様……」


 マヤは泣きそうな顔で私を見る。私は大丈夫よ、と心の中で祈った。


 その時、銃声の音が屋敷内に響いた。


「!」

「ギルバートっ……!」


 マヤの顔が青ざめる。
 今の音は何? 
 まさかギルバートさんが撃たれたの?



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