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「……ジッパー様っ……、シホさんっ……」


　二人の過去の記憶を知って、涙が止まらない。二人は愛し合っていたのに、シホの父親のせいで引き裂かれて、更にはルーアニアの研究員にも邪魔されて……。
　あの後ジッパー様はどうなったんだろう。シホさんは？


「……」


　なんだかずっとシホとして過去の記憶を追いかけてきたから、自分がジッパー様に愛されていたのだと錯覚してしまう。
　もしかして私はシホさんの生まれ変わりなの？　


　それにしても、いちごの言っていた話と全然違う。それにいちごとリコさん……どう見ても、過去のサヤとメイドのリコと顔が瓜二つだけど、どういうこと？　
　

　あの記憶では九条家は貴族だった。貴族制度があった時代といえば大正時代。約七十年前のことなら、サヤは老人になっているはず。だからいちごとは同一人物じゃない？