テキストサイズ

ジッパー様

第25章 連鎖

 私の身体は床に転げ落ちた。見知らぬ男が硬直したジッパー様だけを担いだからだ。


 私には目もくれない。
 でも歩き始めて立ち止まり、私に振り返った。


「ああ、あなたは……」


 それだけ呟いて、その男はニヤリと笑った。そしてジッパー様と屋敷を出ていく。


 待って……
 待って……!
 こんなの、いやっ……
 行かないで……
 ジッパー様を連れて行かないでっ!!


「……ジッパー様っ!!」


 私は声を張り上げて叫んだ。
 そしてハッと目覚める。


 私は肉の塊の中にいた。
 肉の塊の中で、裸で丸まっていた。


「あっ……」


 私は記憶を遡る。
 そうだ、私はシホじゃない、ハルカだ。
 ずっとシホとジッパー様の記憶を見せられていたんだ。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ