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ジッパー様

第6章 意外な繋がり

「さあ、中に入って、ハルカさん」

「!」


 メガネ女が立ち止まって動かない私の腕を引っ張る。


「私はっ……」


 後ずさろうとすると、背後にいる片桐部長に両肩を支えられた。


「大丈夫だよ、鈴村さん。彼女は必ず君を綺麗にしてくれる」

「……っ」

「綺麗になった君を、僕に見せてくれないか」

「!」


 また耳元で囁かれてドキッとした。
 なぜだか片桐部長の囁きを聴くと、力が入らなくなってしまう。そして片桐部長の期待に答えてしまうのだ。


 私は意を決して、喫茶店の中へと再び足を踏み込んだ。そしてこう考えた。ジッパー様は男を嫌がる。だから片桐部長がいればジッパー様が現れることはないだろうと。


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