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ジッパー様

第8章 一線を越えた二人

「……ッ」


 一瞬、何が起きたのかわからなかった。
 片桐部長の柔らかい唇が私の唇に触れると、身体中に電気が走った。


 これは──夢?
 まさか片桐部長が私にキスをするなんて……。
 私はまだ夢を見ているの?
 一体どこからどこまでが夢なの?


 「チュッ」とリップ音を鳴らしながら、片桐部長は何度も唇を重ねてくる。そのたびに身体がふわふわして、心臓の鼓動が早くなった。


「そんな顔したら……もっと欲しくなる」


 切ない表情でそう呟くと、片桐部長は更に深く口づけをしてきた。
 

「……んんッ……」


 片桐部長の舌が唇を割って口内に入ってくる。一瞬びっくりしたけど、蕩けるようなキスに気持ちよくなって、もっと部長のキスが欲しくなった。


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