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Hello

第39章 むすびつき * にのあい


二人で手巻き?、と思っていたが、そこは長年のつきあいで、わいわいと騒ぎながら楽しく食べることができて。

しかも、意外と、韓国風な手巻きはビールにあって美味しかった。

ナマ物が嫌いな俺は、今まで手巻きなんてしたいなんて一度も思わなかったけど……相葉さんのおかげだな。



デザートに、と相葉さんが買ってきてくれたアイスをちびちび食べながら、ソファで二人でニュースを見ていたら、今日は節分だ、とキャスターが言っていた。

そこで、恵方巻きという関西の風習の話題を始め……俺は、そこで初めて気がつく。


あ。もしかして。


「……だから、寿司なんだ?」


呟いたら、相葉さんは、そだよ、と笑って、ぎゅうっと肩を抱き寄せてきた。

相葉さんの温かい体温に包まれた俺は、食べ終わったアイスのカップをテーブルに置いて、この身を相葉さんに預けた。

相葉さんは、優しい手つきで俺の髪をすいてからふふっと笑った。

「たまにはね。季節の行事に沿ったことしてみたいじゃん?」

「……うん」

「にのと、それをしたいって。思ったからさ、俺は」

「……」


でも、海苔巻きじゃなかったけど?
恵方巻きって、海苔巻きでしょ。

手巻きだと、趣旨がちがくない?


そういうと、相葉さんは、


「なんでもいいの。一緒に何かをすることに意義があんの」


と、よくわからない言葉と共に、俺の頬にチュッとキスをした。

相変わらずのゴーイングマイウェイっぷりだけど。

でもその中に、確かにある愛情が分かるから。

俺は、相葉さんの細い腰に腕をまわし、ぴったりくっついた。


「ね……しよっか」


そっとささやいて見上げる。

相葉さんは、目尻にシワをよせた、俺の一番好きな笑顔で、


「うん、しよっか」


そういって、俺をぎゅうっと抱き寄せた。


この心地いい腕の中は、俺の居場所。

……俺の大切な場所。



fin.




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