
Hello
第40章 櫻井くんと俺ら②
Nino×
静かに寝息をたて始めた白い体に、ふわりと布団をかけ、床に脱ぎ捨てていた下着を拾い、足を通して立ち上がった。
ただでさえ腰に爆弾抱えてる身なのに、少々頑張りすぎたせいで、なんだか地味に痛くて……ヤバいかも。
……まあ、それもこれも、綺麗すぎる翔さんが悪いんだけどね。
そのまま、ベッドサイドに腰かけて、静かに眠る翔さんを見つめる。
やわらかな黒髪にそっと指を絡めてみたが、翔さんはぴくりともしない。
……ちょっと意地悪しちゃったしな
枕に半分顔を埋めて、すうすうと寝ている端正な顔は、つい半時間前まで、艶かしい嬌声をあげていた男と同一人物とは思えなかった。
キャスターやバラエティーでみせる、毅然とした優等生の顔の裏に、こんな表情を隠していたのか、と驚くほど……例えて言うなれば、誘い上手な娼婦のような。
俺に抱かれてる間中、その身から駄々もれる妖艶な色気は、そんじょそこらの女に負けないだろうとさえ思った。
俺は、俺の下で、甘い喘ぎ声をあげていた翔さんの表情を思いだし、再び、キューンと血液が一ヶ所に集まりそうになり、慌てて首をふった。
ヤバいヤバい。
さすがにこの人壊れちゃう。
俺の腰も壊れちゃう。
っていうか……ほんとに……いろんな顔を持っている人だね、あなた。
ふう、とため息をつき、腰をトントンと叩いて立ち上がった。
キッチンで、キンキンに冷えたミネラルウォーターを一気飲みしたら、火照っていた体が、すうっとクールダウンする。
カラカラだった喉に、すごく気持ちいい。
空になったボトルをシンクにおき、すこし考えて、冷蔵庫からもう一本取り出した。
俺が、さんざん苛めたおした翔さんは、半ば意識を失うように深い眠りに入ってしまったから。
せめて、水を飲ませるくらいのことは、してあげないと。
自嘲気味に笑いながら、寝室に戻れば、ベッドの中でぼんやりとあいた目が、俺を捉えた。
