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Hello

第41章 あいして * にのあい


Aiba



読んでいた台本を閉じ、俺にもたれて、ゲームをしてるにのの髪の毛をそっとすいた。

ん?と目線だけあげて、なに?ときいてくるにのに、


「……今日さ……俺、翔ちゃんと仕事だったじゃん?」

「……うん」

「久々に怒られちゃった」


と、肩をすくめてみせた。


昼間の、厳しい顔をした年長者を思い出す。

ふざけた感じもなく。
オブラートに包むでもなく。

あの大きな瞳で真剣に俺を見据え、キッパリと諭され。

久々に、身が引き締まる思いがした。

にのが、怪訝な顔をして体を起こし、座り直した。


「……なんで」

「んー?」

「怒られた理由」


口を尖らせて、ぼそりと上目遣いに聞いてくるから、俺は、にのの肩を抱き寄せた。


「……」


されるがままに、俺の胸にもたれてくる体をふわりと抱きしめる。

ちょっと肉付きのいいお腹も。
香りのいい髪の毛も。
安心するように投げ出してくる体の重みも、全てがいとおしい。


にのは、大事な大事な俺の恋人なんだ。

……だからしょーがないんだよなぁ。


「……カメラの前であんまイチャイチャするなって」

「…は?…してねーわ」


にのが、は?という顔で俺を見上げたから、その額にキスをおとす。


「……してるんだってよ」

「いつ。どこで」

「直近の収録では、パン食べさせたりとかさ。俺のVTRみてるときのにののデレたつっこみとかさ」

「……仕事じゃねーか」

「あれはダメらしーよ」

「はあ……?」


翔ちゃん曰く。
これからの時期、変な噂は、極力避けたい俺たちにとっては、ほんの少しのスキャンダルの可能性も摘み取っておきたいんだって。
休止前に、メンバー内の恋だなんて、抜かれたら洒落にならないから。


「……めんどくさいな」

「うん。でも、翔ちゃんもなるべく顔に出ないように気をつけてるらしいから、俺たちも気をつけてほしいって」

「……じゃあ、Jは?あの人だだもれですけど」


にのが、ムッとして声を尖らせた。

翔ちゃんの恋人は、案外と分かりやすい反応が多い。
内輪でそれを煽って遊ぶこともしばしばなほどだ。



「松潤は、カメラの前では、翔ちゃんと距離おいてるからいーの」

「……ずりーな」



ボソッと突っ込む、にののあったかい背中をそっと擦った。

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