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Hello

第45章 Pure * バンビズ


あやすように、ポンポンと背中をたたかれて、ああ、この人にはかなわないな……と、思う。


拗ねて拗ねて凝り固まっていた意地が、熱湯で溶ける氷のように、一瞬で消え去った。


好きだけど……好きだけど。


本当はわかってるよ、相葉くんのことはメンバーとして好きなんだって。
違うところにやきもちの種はあるんだ、実は。



「……あのね、俺も翔くんから好きだって、言ってほしかっただけなんだよね、きっと」


するすると素直な気持ちが口をついた。
俺の腕の中の翔くんが、マジ?とくすくす笑った。


「好きって?俺に言ってほしいのか?」

「だって……翔くんって、言わなくても分かるだろみたいなとこあるじゃん」

「ああ……まあ確かにな」

「言ってよ」

「えー……」

「聞きたい。俺も」

「えー……」


だって、今さら照れるじゃねーか……と、呟いて、翔くんは、ぎゅっと抱きついてきた。
翔くんの体温が心地いい。

忙しかったから、ここ最近抱き合うこともしてないもんな。

翔くんの匂いと、温もりを感じて目を閉じたとき。
腕の中の翔くんが小さく言った。



「……潤」

「ん……?」

「………えっと」

「うん」

「……愛してる」

「………っ」


心臓がどくんと鳴った。
あわてて翔くんの顔を見ようと思ったけど、しがみついてくるように顔を隠すから。それもかなわない。

ただ、上がった体温とほんのり染まる頬が、翔くんの今の状態を物語っていた。


俺は、翔くんをぎゅっと抱き締め直して、コクっと息をのんで。


「……俺も……愛してる」


囁いた。

翔くんは安心するかのように、黙って俺に体重をかけてきた。
その体を支えて。

明日がライブじゃなければ、このままベッドになだれこんで愛しあうとこなんだけどなぁ……と、残念に思いながら、俺は、しばらく翔くんの抱き心地を楽しむことにとどめた。


4時間くらいなら、寝れるかな。


極端に少ない睡眠時間をほこる、ワーカホリックな俺の恋人。


……キスだけさせて?


俺は、体を離して、下からすくい上げるように、その厚い唇を塞いだ。


新しい一年も素敵な始まりかたになったな、と思いながら。


甘い吐息を絡めとった。


好きだよ……翔くん。
大好きだよ。





fin.



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