Hello
第45章 Pure * バンビズ
「……なに」
「…………」
渋々、翔くんを見たら、顎でくいっと机を示された。
………?
机の上には、今、はずした、眼鏡やスマホ、アクセサリー。
そのうち、……スマホにピカピカとランプがついている。
着信でもあった?
不審に思いながら、スマホを手にとり、画面をタップしたら、LINEに通知があったことを示す文字を見つけた。
黙って、暗証番号をうちこみ、開いてゆくと。
「あ……」
未読に上がってるのは、嵐のグループトーク。
『お誕生日おめでとう。くれぐれも無理しないでくださいね 』
『たんじょうびおめでたう ライブ頑張ろう』
『ハッピーバースデー!!潤ちゃん!!!』
三つの吹き出しが、日付がかわる時間に競うように投下されていた。
ちょうど俺が、スタッフと打ち合わせしていた時間帯だから気づかなかった。
そっか……俺の誕生日……
忘れていたわけではなかったけど、モヤモヤした気持ちを抱えたまま、仕事に追われ、ライブのことも考えていたら、自分のことなんか二の次だった。
「ふふ……リーダー『おめでたう』になってる……」
呟くと、いつのまにか隣に立っていた翔くんが、俺の腰にするりと手をまわしてきた。
「……おめでとう。潤」
「…………」
俺より少しだけ低い位置にあるドングリ目が、優しく細められている。
俺の大事な……翔くん。
「お前をお祝いしようと思って、ここで待ってたんだけどな……?」
「……うん」
俺は、スマホをそっと机におき、翔くんに向き直りその体を抱き寄せた。
翔くんは、すでにシャワーを浴びているからか、ボディソープのいい香りがして。
汗臭い俺が触れてもいいか迷ったけれど、我慢できなくて、その白い首筋に顔をうめた。
翔くんは、俺の背中に手をまわし、呟くように言った。
「何を不安に思うのかわかんねー。俺は……メンバーみんな好きだけど、おまえは別っていつも言ってるだろ」
「………」
「俺の恋人なら、そんくらい、分かれよ」
「………うん…」